ハートフルコーチの泣き笑い日記

日々の発見やつぶやきなど。

正しくなくて、良いの?!


群馬の山本です。
私も羽木さん同様、息子たちが帰ってきた時、安心して羽を休められる居場所であろうと改めて思いました。それから、人が変化、成長していく様子は、子どもでも大人でも けなげで、優しくて、それでいて強いなと心動かされ、前向きな力をいただきました!

さて今回は、私の夫のことについて書いてみたいと思います。
私からみて彼はとても興味深い存在です。そのなかで今でも解明できないことの一つに音楽に関することがあります。
皆さんは音楽を聞きながらリズムにのって、1、2、3、4とカウントするように足で拍子をとったりすることがありませんか? 何拍子かわからなくても、曲に合わせて手をたたくことは自然とできるのではないでしょうか。
でも、彼にはとても難しいようです。というのはあくまでも私から見てのことです。彼は彼なりに音楽を感じて、リズムにのっているのですが、私からしたら刻むリズムが不規則で、違和感を持ってしまいます。初めてそのことを知った時は、ちょっぴりバカにしていたように思います。私は音楽が大好きで、ピアノを習ったり、合唱部に入ったりしていたので、信じられない!という気持ちでした。

その後、時々音楽の話になって、彼の言い分も聞く機会がありました。彼の中にリズムは均等に流れていないようで、曲を聞いても拍子はわからないとのことでした。
リズムを刻めない人って意外といるのでしょうか? 拍子の説明をしたり、手をたたきながらリズムをとって教えてみたり、あれやこれやとやってみましたが、なかなかの手強さで、わかってもらうのは無理でした。何度か挑戦しては玉砕し、まぁ、困ってるわけじゃないからいいかと半分諦めの状態でした。

そんなわけで、彼はそのままで過ごしてきました。
誕生日には独特な手拍子と共にハッピーバースデーを歌い、クリスマスにピアノを弾くと楽しそうにリズムをとって盛り上げてくれました。
息子たちが野球少年になり、保護者が応援することになった時は、太鼓の担当になり、頑張って練習しました。最初私はどうして引き受けたのかと、かなり嫌でしたし、不可能だと思っていました。しかし彼は前向きでした。息子に変だと指摘されても、「どこが?」とまったく気にせず、とにかく練習に励みました。正解を理解せずに練習しているので、目指すゴールがわからないのでは?という私の心配をよそに、なぜか少しずつ上手くいくようになりました。

私が練習に加わると力が入り過ぎてしまうので、ひたすら見守る姿勢を意識して過ごしました。この頃にはハートフルコミュニケーションに出会っていたので、見守ることの大事さをわかってきていました。
その代わりに息子たちが見本を見せたりしていました。思い返すと息子たちは、まったくめげない父親の姿をそのまま受け入れていたように思います。拍子を正しく刻むことよりも、自分にとっての音楽を全身で楽しんでいる様子は息子たちにも伝わり、一緒に音楽を楽しんでいました。
その息子たちの様子もあって、私の気持ちは和らぎ、時々おかしくなるリズムの突然変異にずっこけて、爆笑する時間に変えてくれたように思います。
ハートフルコミュニケーションを学んだおかげで、私の思う「良いこと」「正しいこと」にどのくらい意味があるのかも客観的に考えることができるようになってきました。「良いこと」「正しいこと」は人それぞれで、その時「正しい」と思っても変わってしまうこともあることも知りました。おかげで、夫婦でも親子でも同じ考えである必要はなく、違いを認め合い、楽しみ、良い刺激として受け入れられるようになりました。

「良いこと」「正しいこと」が絶対で、正しい道は一本道だと思っていた頃は苦しかったなと振り返ります。一本道なので、その道を少しでも外れたらダメで、周りの景色を眺める余裕もなければ、外れたらすぐに否定することになるので、楽しむこともできない、苦しい時間を過ごしていました。
でも今は道なんてあってないようなもので、それを楽しむ気持ちも出てきていて、自分でもビックリです。ハートフルコミュニケーションを学び、まずはありのままを受け入れること、そこから見えてくる「正しいこと」よりも大切なものに気付けるようになりました。おかげで、子育てだけにとどまらず、夫婦関係、職場の人間関係などあらゆる場面で許容範囲が広がり、いろいろなことに気付けるようになったと思います。

今では、彼の感覚を貴重だと感じています。彼にしかわからないリズムの世界。規則正しくないリズムの中で刻まれる、または刻まれていない?音楽の世界。
もしかしたら世界に一人かも知れないと思うと、貴重な研究対象に思えてきます。正しくない、間違っていると切り捨てなかったおかげで、彼から音楽の楽しみを奪わなくてすんだと感じています。正しさを超えた音楽の持つ幅広い力、魅力にも気付かせてもらい、今では彼の独特なリズム感がそのままであり続けるようにと願っています。

息子たちが家を出て夫婦だけの暮らしになった今、私とは全く違う夫の観察に心置きなく専念できます。私との違い、また意外にも同じところなど、これからも様々な気付きを楽しみたいと思います。

さぁ、次のバトンをリズムよく秋岡さんへお渡ししたいと思います。   

群馬県/山本美徳 






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