ハートフルコーチの泣き笑い日記

日々の発見やつぶやきなど。

もっと試そう、もっと遊ぼう


「私なんて」が羽木さんにもあったとは!驚きながら読みました。私も長年この厄介な気持ちに悩まされています。羽木さんが自分の気持ちに真摯に向き合ってきたこと、また長年積み重ねてきた一つ一つの努力に敬意を表します。

今回は「私なんて」と思う間もなく過ごせる、 私の好きな時間について書いてみたいと思います。

一年ほど前から親子で気軽に参加できる子育て会を始めました。雑談の中で悩みを聞いたり、子ども向けにはリズム遊び、絵本の読み聞かせ、簡単な製作遊びなどをしています。
子どもたちはお話もとても楽しそうに見て聞いてくれますが、製作遊びの時に見せる表情は格別です。例えばシールひとつ貼るにしても、どのシールから貼ろうか、どこに貼ろうかを子どもなりに考えて貼っています。一応見本は作りますが、何でもOKにしていて、子どもに選んでもらうパーツを用意したり、色を選んでもらったりと選択することも意識して準備しています。世界に一つの作品が出来上がります。

時には、自分でなかなかやらない子にも出会います。失敗したくない、正解は何だろうと探しているような子もいます。私は失敗もOK、何でもありだと思っているので、それを伝えながらかかわります。余計な言葉をかけず、安心できる場作りを心掛けていると子どもはやっぱり自分でやり出します。
そうして回を重ねるうちに、子どもがもっともっと自由に試したり、やりたいことをやっていい場所があったら良いなと思うようになりました。

そして、そんな思いを後押ししてくれる本に出会いました。一つは末永幸歩さんの「13歳からのアート思考」。もう一冊はかこさとしさんのエッセー、「未来のだるまちゃんへ」です。子どもたちは遊びの中で様々なことを感じ、成長している。また、製作というと完成品の出来栄えに注目しがちですが、製作の過程を楽しむ中で様々な感情が湧いたり、思いがけない発見に出会えること、それが刺激になってもっと試してみたくなったり、心の充実にもつながることなどを確信しました。そして、子どもが「試す」ことをとことんやって良い場所を作りたいという思いがふくらんでいきました。

そこで先日、幼児向けに60分の「試すを楽しむ会」をやってみました。
楽しんでくれるとは思っていましたが、どのくらいで試しきるかは読めずにいました。30分でやり切ってしまうようだったらと思うと心配だったので、アート遊びを2種類用意して会に臨みました。参加してくれたのは親子2組(お子さん4名)。
まずは、にじみ絵を楽しみました。にじみ絵は紙に絵の具を垂らして、にじむ様子や色の変化を楽しみます。今回は紙タオル(キッチンペーパー)に赤、青、黄色の3色の絵の具をスポイトで垂らす方法で行いました。

開催前に、どの紙にしようか、スポイトにしようか筆にしようか、色は何色にしようか、どのくらいで乾くのかなど実際にやってみて、予想しながら準備しました。ところがやってみると、子どもたちは私の予想をはるかに超えていました。
4人の子どもたちは、絵の具を垂らした瞬間からぐっと集中するのがわかりました。四角いキッチンぺーパーの右上の角から徐々に色水を垂らしていく子、真ん中から垂らしてどんどん色を重ねていく子、にじんだ様子にびっくりした後、どんどん色を変えて試す子、一人ひとり、個性的で自分の世界で楽しんでいました。
それがとても嬉しくて楽しくて、見ている私まで幸せになりました。
大人はつい、黄色と青で緑になるよなどと言いたくなりますが、そんな発見はあっという間に通り越して、もっともっとその先まで試している感じに見えました。そして失敗が失敗でなく、むしろそこから発見や工夫が生まれ、思いがけないこととの出会いが良い刺激になり、ワクワクさせてくれているようでした。なので時間は1種類だけでも足りないくらいでした。

子どもたちの集中力や好奇心、限りなく試す姿はとても愛おしい。私が大好きな子どもの姿です。この終わりのない好奇心を思う存分使って楽しめる時間を保証したい、とことん楽しんでほしいと開催後も感じ、やってみて良かった、そんな気持ちでいっぱいになりました。
私が自分で試した時には紙が色で埋まったらそこまでで終わりにしていましたが、子どもたちはさらに違う色を重ねてみたり、水たまりのようになるまで垂らして「海にした!」と教えてくれたり、まさに紙からあふれても終わらない好奇心に感激しました。そして、1枚や2枚では全く終わらない探求心とやる気に嬉しくなりました。何より、子どもたちのそれぞれの様子を見て何を楽しんでいるか、どんなことを感じているのか想像を巡らせながら過ごす時間がとても楽しかったです。

場を時間を提供するだけで、子どもは勝手に動き出す。教えて得るもの以外にも、自分で気付いたり、やってみようと動いたり、没頭するからこそ得られるものもあると子どもたちからひしひしと伝わってきました。その様子を見ることが、私は本当に好きです。

その数日後、ハートフルクラブで「子どもの声を聴く」と題した、かんぺーさん(神林俊一氏)の講演を聞きました。
「子どもにとって『遊ぶ』ことは生きること」。
かんぺーさんからのメッセージに、自分の子ども時代を思い返して、楽しかったな〜という思いが湧いてきてニヤニヤしてきました。そして、子どもたちが試したり、失敗したり、自分で好きにやってみたいことをやれる場所を作り続けたいと、改めて思いました。今回、実際にやってみたことで、そうした場は小さな子どもに限らず、中学生でも高校生でも、大人になっても楽しい場であると気付かされました。
大イベントはできなくても、私にもできることがありそうです。これからも子どもたちのやってみたいを応援しつつ、私自身も楽しい時間を過ごしたいと思っています。

次回の「試すを楽しむ会」はスタンプ遊びを準備しています。どんなことを試すのか、何を面白がってくれるのか今から楽しみです。

それではこの辺で、秋岡さんへバトンをお渡しします。

群馬県/山本みのり



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