ハートフルコーチの泣き笑い日記

日々の発見やつぶやきなど。

母との会話


世田谷区在住の平沢です。リレーブログは二度目となります。よろしくお願いします。
村井さんの「ピントを合わせる」という言葉が心に刺さりました。やってみたら違う景色が見えてきそう! 試してみたいと思います。
さて、今回、私は母の話をしたいと思います。

5年前に転んで大腿骨を骨折し、以来、自宅には一度も戻れず今は特別老人保健施設に住まう母。コロナで面会が叶わない中、2ヶ月に一度の通院の付き添いで母と会う機会が訪れます。そして、診断までの待ち時間3〜4時間が母とのおしゃべりタイムです。

86歳の母は、足腰が弱って認知症の気もあります。同じ話を繰り返し、メガネが無くなっただの誰々に盗られただの、とりとめもなく話しますが、私はこの時間が結構楽しく感じられます。なぜなら、私も負けずにとりとめもなく話すから。
「メガネが無くなったの。〇〇さんがとったのよ。」母、何回目かのセリフ。
「え、そう? そのメガネ、お姉ちゃんが持ってるって言ってたよ。探してもらうね」と私、何度目かの返し。
「でね、この間下の子の学校でさあ…」と、全然違う話を始めるといった感じで、母との他愛ないおしゃべりは続きます。

日常の些細なことから子どもや自分の悩みごとまで、なんでもかんでも思いつくまま話すので話題はつきません。ちょっとボケてきた母は、以前と同じように「そんな時はこうしなさい」と命令口調で言うものの、話をしているうちに、自分が最初に何を言いたかったのかを忘れるようで、「うんうん、そりゃあんたも大変だねえ」となり、最後は「子どもを育てるのは大変だよね。お母さんも大変な思いをしてあんたらを育てたんよ」と、お互い子育ての大変さを共有して終わるなんてことも多く、話しやすいことこの上なしなのです。

思えば、二十歳を過ぎた長男の子育てがひと段落し、子育て中に体験した出来事について、「私はこうしたけれど、お母さんはどうしていたの?」という同じ立ち位置の視点で話しかけるようになってから、知らなかった出来事や母の心の内を垣間見られるようになった気がします。

なので、「お母さんもね。同じようなことがあってね。その時は〜」なんて話を聞くのも新鮮です。時代は違えど親としては同じ立場となり、同じようなケースの感想が聞けるのは不思議な気分です。その時、母が感じたこと、取った行動を今の自分と比べてみるのがまた面白く、興味をそそられます。
「えっ、そんなこと思っていたの? そんなこと言ったの?」と知らなかった過去のエピソードが掘り出せたりすると、それで、それで?と話が盛り上がります。意外な発見もあり、驚いたりすることも。先日も、何気ない出来事を母に聞いてもらっていたとき、母はいつものように、うんうんと聞きながら、ああだ、こうだと話していましたが、最後に、こう言いました。
「あんたが一番、可愛い」
えっ? そうなの?  驚く私。
「お姉ちゃんも可愛い。自分の子どもが一番可愛いんよ。孫より可愛い」
あんなに孫が可愛いといっていたのに? 両親が孫を可愛がる様子を見て、姉と二人で「あの可愛がりようと言ったら、私らの時と全然違うよね。やっぱり孫には敵わないよねぇ」と話していたので、心底意外で驚きました。驚くと同時に私と姉は母に愛されて育ったのだなあとじんわりと温かい気持ちになりました。

物心ついた頃から心配性な母にあれこれと干渉され、思春期を迎える頃からは母の心配が高じた口出しが煩わしく思うことが多々ありました。口を開けばあれダメこれダメ、こうしなさいと言われるので、いつの間にか相談事はしなくなり、母に言われる注意も右耳から左耳へと抜けていくのが常となりました。
ところが、子育てのあんなことこんなことを乗り越えてきた同志のような関係となった今、母の説教で終わることが多かった会話は、共感したり本音が聞けたりと、心許せる友達との間のような会話へと変わりつつあります。
時を経て、年老いた母とこんな楽しくも新鮮な会話ができるとは思いもよりませんでした。時の流れはすごいなあと感じる今日この頃。今はこのひとときが楽しく、これからもこんな会話が続くといいなと思っています。

では、このあたりで安村さんにバトンを渡します。

東京都/平沢恭子 



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2023年05月01日(月) No.617 (日記)

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