ハートフルコーチの泣き笑い日記

日々の発見やつぶやきなど。

学校との距離がもたらした成長の機会


東京の村井です。
石垣さんの「手出し・口出し・先回り」は自分にも思い当たる部分があってハッとすると同時に、娘さんの心の成長に胸が熱くなりました。

次男が不登校になってから、1年半。今も途中経過ではありますが、彼の様々な面を知ることができる、いい機会になっています。
5年生になり、担任が変わってから、息子が徐々に元気がなくなってきました。先生が怒ってばかりいる、友達も荒れている、という話から始まり、腹痛など体の不調を訴え出し、運動会を休み、習い事も足が遠のいていきました。
休日友達と元気に遊ぶ姿と、平日の不調の訴えとのギャップに、私はどうしていいか分かりませんでした。病院に行っても原因も見つからず、ただただ元気がなくなっていく息子を見て、心の内が知りたい、と、夜二人で散歩しながら話を聞いたりしました。いつも味方だということを伝えつつ、どうしたいと思っているのかを探る日々でした。

しばらくして、息子は「もう行きたくない」とエンジンが切れたようになってしまいました。
息子の友達や保護者からも担任の話を聞いていたので、「子どもを守らなくては」と私は学校に対して戦闘モードでした。似たようなことが兄の学年でもあったので、私の学校に対する怒りは加速していました。と同時に、もっと早くに学校に話しておけばよかった、という後悔の念もありました。コロナ禍で保護者会も学校公開もなく、学校との接点が薄れてしまっていたことも、事を難しくしていたと思いました。
遅まきながら、校長やスクールカウンセラーも交えて何度も話し合いを持ち、具体的な改善策を引き出しました。結論は、巡回頻度を増やす、学年が上がり、担任が変わるまでは学校とは距離を置いて休ませる、ということでした。

学年があがり、担任も変わったものの、すぐに行けるようにならなかったのは、私の誤算でした。それだけ傷ついていたんだ、ということが分かりました。人の気持ちは、そう簡単に立ち直るものではない、ということを改めて学びました。
動かそうとすると石のように動かなくなり、元気がなくなることを前年に学んでいたので、家でのんびり過ごすといいよ、と家族みんなで、普段通り、特別扱いすることなく話しかけたり、ゲームを一緒にしたりして接していました。

また、私は週末や寝る前に、息子の様子を見つつ、話しかけてよさそうなタイミングを見て、じっくり話をする時間を取るようにしていました。
最初は、「帰り道、好きなお菓子を買ってベンチで休憩してから帰るのどうかしら?」という声掛けをしたところ、「いいよ!じゃあポテトも食べたいな」と返答が来たところからでした。外で話したり、家の中で2人になれる場所を見つけて「お話したいんだけど、ちょっといいかな?」と声を掛けたり、息子から話かけてきたときは、息子の話を聞いた後、私から話したり、といった形で話す時間を持ちました。
私からは「最近面白いと思っていること」を聞いたり、息子からは、「新しい担任の先生は好きだから、話したいと思っている」「卒業式は行きたい」等話してきたりと、息子は息子なりに考えているということが分かりました。家が彼にとって安心安全の場であること、それだけを考えて過ごしてきました。
学校や習い事に行かないこと以外は、テレビに笑ったり、友達や家族とゲームをしたり、面白かったYoutubeを一緒に見よう!と見せに来たり、普段通りの彼の様子を見て、これでいいんだ、と、彼の状況を受け容れていきました。

彼は卒業式の練習から参加し、友達と一緒に卒業式に参加をしました。すごく頑張ったと思います。その変化に、私がびっくりしました。中学に上がり、現在はスクールカウンセラーの先生と対話しつつ、息子は、自分にとっての「OKな環境」を探している最中です。

学校との距離ができたことで、息子だけでなく、私や家族も成長できたと思います。
息子がどういう人なのか、彼の眼には学校が、家庭が、どう見えているのか、少しずつ理解できてきました。ただただ、かわいいという私の親目線で見ていただけではなく、この経験を通じ、彼の人格そのものに深く触れることができました。彼の考えや感じている思いを聞いていると、彼は大丈夫、という信頼の気持ちが芽生えてきます。

私は先のことばかり考えてしまう性分なので、何かあるごとに「こう考えているからかも?」という自分の仮説を積み上げ、「だったら、こうすればいいかもしれない」と自分なりの解決策や選択肢を探し出してしまいます。彼との対話から、「僕はお母さんのように行動力があるわけではない」という話を聞き、自分の傾向が息子の考える力を奪ってしまいそうに思い、じっと待つこと、の大切さを気づかせてくれました。
これからも見守りつつ、本人が「こうしようかな」と話し出したら、じっくり話を聞いて、後押しをする。そんな距離感の付き合いをしていきたいと思います。

この辺で、次の平沢さんにバトンを渡したいと思います。

東京都/村井雅子 






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