ハートフルコーチの泣き笑い日記

日々の発見やつぶやきなど。

相談事は長男に


東京世田谷区の平沢です。
村井さんの「人に寄り添う」力に感じ入りました。親目線を子どもの目線にするのはなかなか難しいけれども、心がけてみたいと思います。

さて、私は最近、相談事があると、大学3年生の長男に相談します。なぜなら、とても親身になって聞いてくれるからです。

「ちょっと、聞いてくれる?」と口火を切って、実はこんなことがあってねと話しだすと、じっと耳を傾けて聞いてくれます。食事中などは私の話を箸を止めて聞いてくれるので、受け止めてもらえている感が半端ありません。
話している間は、ああだのこうだの上から目線のアドバイスもなし。私が感情的になり、時には怒りながら、時には涙ぐみながらに話しても、慌てず騒がず最後まで話を聞いてくれます。その後は多岐にわたる質問を投げ掛けかけてくれ、それに答えているうちに心の中が整理されて、気づけば自分なりの着地点を見いだせています。

実は、こんなふうに相談事をするようになったのは、彼が大学生になったころから。
きっかけは、次男の体調不良でした。7つ下の次男は、中学1年生のときに、朝、起きられない、人の多いところだと気持ち悪くなるといった症状が現れました。朝、登校するのもつらい日が続き、病院に行ったり部活を制限したりと色々と改善のために手を尽くしましたが、なかなか快方の糸口がつかめませんでした。

そんなある日のこと、長男が珍しく「○○は大丈夫なの?」と聞いてきました。長引く次男の体調不良を見かねたのでしょう。長男自身も中学生まで喘息症状に悩まされ、具合の悪い気持ちや不安を共有できたのではないでしょうか。また、長男が体調不良を訴えるたびに、症状改善のためにエネルギーを注いできた私と夫の行動を覚えていたからこそ、放っておけなくなったのではないかと思います。

そこで、次男の体調不良について説明し、彼が中学1の頃、同じような症状に身に覚えはないかどうか聞いてみました。すると彼は、自分にはなかったけれど、当時似たような悩みを抱えていた友人がいたこと、その友人はスクールカウンセラーに相談したことで快方に向かったことなど、とても丁寧に、かつ具体的に話してくれました。
そんなふうに親身になって長々と話してくれたのは初めてだったので心底驚きました。
さらに驚いたことに、その後も、当時の友達に連絡を取り、当時の詳しい話を聞いてくれ、私に伝えてくれました。それが糸口となり、スクールカウンセラーや保健室の先生などと連携がとれて、次男の体調は改善に向かいました。

そんな出来事があり、私の彼に対する見方が変わりました。
それまでは、「まだまだ、してあげないと危なっかしいのよね」という思い込みがありました。その思い込みから、「頼りにならない存在」と位置付けていたように思います。けれども、その一連の出来事を通して、「困っている人を思いやり、自分にできることを行動にうつして人の力になれる人」へと見方が変わりました。
つまり、「頼れる存在」へとシフトしたのです。
物理的には、重いものをもってもらったり、スマホのわからない操作法を教えてもらったりと、頼ることは増えてはいましたが、心理的には私の思い込みが邪魔をして、頼れる人に成長していることに気づきませんでした。

その日を境に、私は自身の悩みを心許せる友達に話すように相談するようになりました。
相談するようになってから、長男との会話は少しずつ増えていきました。「ありがとう、やってみるわ」とか、「早まらないでよかったわ」とか報告すると、またじっと言葉を受け止めて「ああ、そう」とか「よかったね」と、返してくれます。うまくいかない報告をすると、次なる行動のための投げ掛けをしてくれて、相談事が着地するまで気にかけてくれます。
成長とともに、 友達をはじめまわりの影響をたくさんうけて、人の心に添って力づける力 を伸ばしていったのでしょう。

もともと、家では口数は少なく、自分のことや学校のことなどのよもやま話しはしないうえに、食事の時以外は自室にこもっていたり外出していたりと顔を合わせることも少ない長男。うっかりすると、手出し口出しが多くなる私ですが、それを嫌う彼に対して余計なお世話をしない、つまり彼の決めることに対して邪魔をしないよう心がけ、必要なときには手助けをするといったマインドで接してきました。高校生以降はすっかりそうした関係性も板につき、親の知らないところで精神的な栄養をいっぱい吸収していたように思います。
それにしても、ヤゴと思っていたらトンボになっていたくらいの衝撃でした。でも、こんなふうに長男と会話できるようになるなんて思いもよらず、嬉しさをかみしめている日々です。

そんなこんなで、相談事は神対応なのですが、相談事以外だとにょろにょろ逃げて塩対応。私のどーでもいいよもやま話(彼女はできたのー?とか、サークルで何してるのー?とか)には付き合ってくれません。どうやら、母のギラギラした興味津々の話は苦手のよう。くだらないよもやま話にも付き合ってくれるといいなぁと欲深な想いをつのらせつつ、次なる安村さんにバトンを渡したいと思います。

東京都/平沢恭子  





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