ハートフルコーチの泣き笑い日記

日々の発見やつぶやきなど。

未来の希望


兵庫の渡海です。
岩田さんのお母様との交流から、存在そのものが喜びであると思い出させていただきました。そして、自分は何を大切にしたいのかに向き合うことで、より良い関係性や生活に結びつくんだと、改めて感じました。

今回私は、自分以外の誰かが、こんなにも幸せな気持ちをくれるんだ。愛する人の成長は未来の希望を見ることなんだ、と感じた一日を綴ろうと思います。

先日、小学生の娘の運動会がありました。
感覚の過敏があり、環境の変化に順応することが困難な娘。当日、緊張で固まって動けなくなったり、パニックになることも十分考えられました。学校からも、当日の様子を見て無理そうだったら出場は控えますと、連絡を貰っていました。
そんな彼女なので、運動会当日の競技の瞬間まで、私たち親は、彼女の運動会でのリレーで走ったりダンスをする姿を、見られるのか見られないのか分からない状態でした。

運動会当日の運動場は、彼女にとって全く別の場所に感じられます。たくさんの観客の応援の声や、視線、浮き立つような張り詰めたような空気感。聴覚・視覚などの過敏を持つ彼女にはこの環境を受け入れ、自分の緊張感を乗り越えて、自分の気持ちに折り合いをつけること=競技に参加することは、とても大きなことでした。

競技に参加できるんだろうか?! という私たちの心配は杞憂に終わり、当日の彼女は全ての競技に全力で取り組み、やり切ることができました。ダンスでは、顔が赤くなるくらいに力一杯大きな旗をふり、全身で音楽を表現していました。リレーでは、距離感が掴めず転んで怪我をしながらも、必死にバトンを拾い全力で走り抜き次の走者へとバトンを繋ぐことができました。

走り終え、一心不乱に担任の先生に抱きつく姿から「自分は出来た! やり切れた! 頑張れた!」という彼女の気持ちが伝わってきました。
「自分の中の緊張感や逃げ出したい気持ちを、自分の力でコントロールして乗り越えられた」と、娘がチャレンジできたこと・成長する姿に、胸が熱くなりました。と同時に、彼女のペースを大切に、自発の動きを待って、ありのままの彼女の力が出せるように信じてサポートしてくださった、担任の先生にも感謝の気持ちが溢れてきました。

自分以外の誰かの成長がこんなにも、嬉しいなんて。こんなにも喜びをもらえるなんて。
愛する人がチャレンジする姿や、成長の過程を見ることは、損得や比較とは別次元の、純粋な喜びの意識へと私を導いてくれました。そして成長の喜びは、大きな未来の希望を私にくれました。

当たり前が、当たり前ではない娘。同年代のお友達と同じことができないことや、環境に適応できない姿を見るたび、私は彼女が社会から置いていかれるんじゃないか、と将来の不安を感じ、心配になります。私の心にはいつも漠然とした彼女の未来に対する、恐れがありました。
でも、彼女は自分で自分の気持ちと身体をコントロールし、チャレンジする姿を見せてくれました。自分の持つ力で、乗り越える瞬間を見せてくれました。
誰かにやらされるからとか嫌々とは真逆の、彼女の心が原動力となる「やりきりたい! 頑張りたい!」という、力強い生きる力を見せてくれました。ありのままの彼女の中心・土台の心が、「成長したい」と思っている。彼女は生きる力を持っている、大丈夫だと思えました。

今回、彼女が、自分の力を発揮できたのは、ありのままの彼女でいるっことを許されたからだと思います。競技前には「緊張を逃すために、歩いてきます」と自ら先生に伝え、ひとり校舎の外周を歩く娘の姿がありました。彼女が自分で、どうすれば自分の感情をコントロールできるかを考え、自分で伝え、乗り越えるための行動でした。ありのままの彼女であることを受け入れてもらえたからこそ、安心して自分と向き合い、一歩を踏み出し、自分自身の力を使えたんだと思います。

また、私たちの応援する気持ちが届いたことも、彼女の頑張る力になったのかもしれません。
運動会当日の水筒に「お母さん達の勇気を入れたから」と、赤いハートのフェルトを付けて、私たちの応援する気持ちを、見て触れられる形で渡しました。「大丈夫あなたはできるよ」という気持ちを彼女に届く形で伝えることが、彼女の心を支えると思ったからです。

日々、私たち親が大切にしていたこと。彼女自身が「やってみよう・今は頑張ろう」と思える工夫。例えば予定を可視化して提示することで、どのくらい頑張れば休みやお出かけなどのお楽しみがある、だから今日頑張ろうと思える、彼女が理解し考えるためのお手伝い。
学校の用意や、買い物、お金のやりとりなど、些細な日常の一部を彼女に任せること。当たり前を当たり前とはせず、小さな「できた」を積み重ねることを大切に過ごしてきたことは、彼女の力になっていると思えました。

彼女の成長が、自分のこと以上の喜びに感じた一日でした。
彼女の親であることで、心配や苦しみ、悲しみも感じます。でも、それ以上、何倍も多くの嬉しさや、楽しみ、満たされる喜びをもらっていると、改めて思います。親であることで、人生が何倍にも膨らんでいると感じます。見えるもの、感じること、思うこと、私の心に入ってくる感情が、愛する人の数だけ広がり、私の人生が広がる感覚を持ちます。自分以外の誰かを愛し成長を願うことは、相手に反射し、自分に返ってくるんだと、この日、確信を持ちました。

ありのままを尊重すること、愛すること、成長を願うこと。それは、全て自分へ返ってくる。そして“存在“への感謝を感じます。だから、存在することは尊い。
愛するひとの成長が、未来の希望を見せてくれました。生きること・存在に、感謝を感じた一日でした。

では、このへんで落合さんに、バトンを繋ぎます。

兵庫県/渡海恵子 






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