ハートフルコーチの泣き笑い日記

日々の発見やつぶやきなど。

トライ&エラーの醍醐味


東京の平沢です。
「ありのままを認めて伝える」、村井さんが息子さんに対して、思いを巡らしながら言葉を選び伝えている様子が切実に伝わってきました。「お、やってるね」の効果、またの機会に教えてほしいです。

さて、何かと苦手なことが多い私ですが、トライ&エラーを繰り返しながら苦手克服に取り組むのはわりと好き。なぜなら、苦手を乗り越えられた時の達成感や充実感は計り知れず、自信がつくからです。
前回の日記では、「狭いところが苦手だけれど、乗り越えられた!」という体験を書きました。
今回は、ここぞというときに緊張しないワザを身につけた!という体験について書きたいと思います。

趣味でバレーボールを楽しんでいます。40歳を過ぎてから始めたスポーツですが、歳をとっても上手くなれると実感できるところや、みんなでボールをつないで勝つ楽しさに、どっぷりハマりました。もう10年以上、週2回ある部活動のような練習に参加して、地道に技術向上を目指す日々。
そんな魅力的なバレーボールなのですが、唯一苦手なのが「試合」です。というのも、こと試合となると緊張してしまい、やたらとヘマをするからです。

緊張しやすいのは、おそらく真面目で責任感が強い性質が起因しているのではないかと思っています。ボールは狙ったところにあげないとだめ、メンバーに迷惑がかかるからボールを落とすなんてとんでもない失態だ、と自分を追い詰めてしまうのです。
すると、手足が冷えて、体がガチガチに強ばり、思うように動けなくなります。心の面では、もうパニックです。「ボールを落としたらどうしよう、失敗したらチームに迷惑をかけてしまう。ああ、いっそ私のところにボール飛んできませんように・・・」とぐるぐる考えてしまうのです。

この緊張してパニックになる状況をなんとか乗り越えられないものか…。
そこで思い付いたのが、閉所恐怖症を乗り越えたやり方をためしてみること。前回の日記に書いた成功例です。早速、「自分のなかにいる萎縮している自分を探して俯瞰してみる」ことにトライしました。ところが、ボールはコンマ1秒で飛んでくるので、のんびり俯瞰して探している間もありません。これはエラーに終わりました。

次に、試合を楽しんでいるチームメイトを観察してみました。なぜ、緊張しないで楽しめるのか、そのコツがつかめれば、緊張しなくなるのではないかと思ったのです。すると、上手い人ほど肩の力を抜いてプレーしていて、失敗しても楽しそうな様子が見えてきました。やはり上手くなるしかなさそうです。

地道に練習するしかないと結論づけて、せっせとバレーボール上達のためのYouTubeを見ていたある日のこと、「意識して取り組む」ことをテーマにした動画が目に止まりました。練習時に何気なく練習に取り組むのではなく、どこに注意してどんな風にボールをとるのか、意識して取り組むだけで変わるという内容だったと思います。
当たり前と言えばそれまでなのですが、そういえばなんとなく練習して、いつも同じことを監督やコーチから指摘され「もっと意識して」と言われ続けてきていたことにふと気がつきました。そこで、「よし!言われて意識するのではなく、言われる前に意識してやってみよう!」と思い立ちました。前述の通り、トライ&エラーを繰り返すのは好きなのです。

心に決めてから初めての練習の日。早速、練習前から“意識して取り組む”ことにトライしました。特に前回、注意されたところは、また同じことを言われないよう試みます。そのとき、「姿勢は低く、を意識する」、「踵は上げて前傾、を意識する」など、注意すべき点を「意識、意識」と頭の中で連呼して取り組みました。何回かそうして練習に臨んでいたら、ごちゃごちゃと散在していた注意事項が頭の中で整然と仕分けされていくのが感じられました。

そんなある日のこと、監督から「今のボールは落としたけど、意識して取り組んでいるのはわかったよ」と声をかけてもらえたことがありました。私が呪文のように心で唱えていたワードを、タイミングよく監督からもかけてもらい、「下手でも意識して取り組んでることをわかってもらえてる、伝わるんだ」と、嬉しくなりました。できる、できない、ではなく、やっている気持ちを認めてもらえて、「私、ダメな人じゃないかも!」と思えたのです。

よくよく考えてみると、私自身が、「ボールを落とす、失敗する」=「下手でダメな人」と決めつけていたことに気づきました。自分自身に「できない人」というレッテルを貼っていたのです。
思えば意識する前までは、「ボールを落とす、失敗すること」にフォーカスして「=ダメな人」という文脈で結論づけていました。しかも、そこにフォーカスしていることにまったく気づいてなかったとは、思い込みって本当に怖いです。監督がかけてくれた言葉がきっかけで、失敗は「良い・悪い」、「すごい、だめ」、というものではないと気づきました。失敗は糧、それを元にできるなったことにフォーカスすれば、ダメな人からあら不思議! いけてる自分が見えてきたではありませんか。「失敗」が自分を育ててくれる栄養に変わったとでもいうのでしょうか。
そんな思い込みに気づいてからは、練習前から常に「意識する」を脳内で連呼して過ごしました。

1ヶ月くらいたって、また試合の機会が訪れました。
相手はクラブチームで、自分のチームメンバーも私以外は上手い人ばかり。いつもなら、萎縮して緊張マックスの場面ですが、この時は違いました。ボールを取り損ねると、いつもなら、「どうしよう!」とぐるぐるして「やっぱり私はダメな人」と決めつけるのですが、この時は違いました。「意識、意識」と唱えると、わちゃわちゃした想いに囚われずにいるのが、わかりました。そして、その言葉がきっかけとなり、それまで練習で意識してきた一つ一つの動きが、瞬時に脳から体に反応してくれて、ごちゃごちゃ考えなくても動けるように感じました。心の面では、「ボールを落とした。反省するのはあと! 練習でできるようになったトスでリカバーしよう!」と、次はできる自分に期待して「よし、来い!」とワクワクしています。「ボールが来ませんように…」と委縮して緊張マックスだった私はどこへやら。

もちろん練習以上の力を出せるわけではなく、技術で足りてないのは事実で、ボールは落とすし下手であることに変わりはありません。でも、1一個一個の失敗に囚われず、できているところに意識が向くようになったおかげで程よい緊張感で試合が楽しめるようになりました。私にとって何より大きな果実です。また一つ自信がついて、「いいぞ、私!」とエールを贈っている今日この頃、トライ&エラーの醍醐味、ここにありって感じです。

では、この辺りで次なる安村さんにバトンタッチいたします。

東京都/平沢恭子 





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