ハートフルコーチの泣き笑い日記

日々の発見やつぶやきなど。

息子大好きー!


埼玉の上村です。
名和さんご夫妻のおでこにピコンピコンっと流れる「葛藤中」のテロップ。想像したとたんに笑みがこぼれました。「誰の問題?」は日常に溢れていますね。娘さんの頼もしいサポートと「葛藤中」を経て生まれたエピソードに心が和みました。

突然ですが、私がハートフルコミュニケーションに出合って一番よかった!と思うのは「息子大好きー!」と胸を張って言えるようになったことです。
先日片付けをしたとき思いがけずお宝を発見! 次男の出産のとき病室に持っていった手帳です。そこにはふたつの涙が書き留めてありました。
ひとつめの涙は、次男の誕生。また新しい生命を授かり、無事に出会えた奇跡。次男誕生の喜びと感動!で、私は病室に戻ってからもずっと涙がとまりませんでした。
ふたつめの涙は、長男の成長。私は里帰り出産のため群馬に帰省し、長男は東京のおじいちゃん、おばあちゃんの家で過ごしていました。9日ぶりの病院での再会に、長男は私の手をぎゅっと握って「ママ、一緒におうちに帰ろうよ」。歩き出したところを父親に抱っこされ、エレベーターへ。長男は顔をゆがませながら必死に寂しさに耐えていました。エレベーターが閉まった途端に聞こえた「え〜ん!」という叫ぶような泣き声が耳から離れず、切なくて涙が止まりませんでした。

手帳の文字を追いながら、もう涙腺が。一瞬にして18年前の気持ちがよみがえりました。
思えば生まれた瞬間から、私は息子たちから大きな愛情をもらっていたのです。
愛おしくてたまらなかった懐かしい気持ちと今も変わらない「息子大好きー!」の気持ちをあらためて実感しました。

私はとにかく子どもたちのことが大好きで、幼い頃は大好き!と言ってはムギュっとしたりチューしたり。ふたりが大きくなってもそれは変わることなく、私にとっては特別なことではありませんでした。
ところが、上の子が小学校高学年になるにつれ、私が「息子大好きー!」と発言すると、まわりのお母さんの顔に「子離れできなくなるのでは?」「子どもを甘やかしてしまうのでは?」という疑問符が浮かぶのが見えはじめました。「息子を溺愛する母親」。そんなふうに自分が映っているのではないかと不安になっていきました。しかもちょうどその頃、長男が「僕なんかダメだよ」と口にするようになりました。私は自分の子育てに疑問を持ち始め、だんだんと「息子が好き」と口にすることをはばかるようになったのです。好きという気持ちにさえ、「子どもをダメにする母親」という罪悪感めいたものを感じるようになっていきました。
それでも私の中の子どもたちに対する愛情が変わったわけではありません。でも、私の好きという感情が子どもたちをダメにするのだとしたら…もうどうしていいかわかりません。子どもを好きだと思う感情を抑えながら、どんなふうに子どもたちを愛すればいいのかわからなくなっていました。

そんなときに『10代の子どもの心のコーチング』(菅原裕子著)を読みました。
その中に、親が子どもに教えることの第一番目として「愛すること」を学ばせることとありました。子どもに愛することを教えようとすれば、その唯一の方法が、子どもを愛すること、可愛がること。子どもの自己肯定感はそこから生まれると。
私は心底ほっとしました。子どもを愛する感情を抑えることはやはり私にはつらいことでした。だから子どもたちを思う存分愛して、抱きしめて、大好きと伝えていいんだとわかり、とても嬉しかった。

こうして、子どもを愛していいと知って安心した私でしたが、同時に、子どもを愛しすぎることの危険も学びました。子どもを愛しすぎる親は、子どもの生活に過剰な干渉をしてしまうということ。
思い当たることがありました。子どもたちが小さい頃から、子どものことで心配や不安なことが頭に浮かんだ途端、先回りして解決しなくてはと躍起になっていたのです。
自己肯定感は、愛されることで生まれるといいます。でも長男は、「僕なんかダメだよ」と口にしていました。私は長男にどんな愛情を向けていたのか。どこかで、愛するが故ということを言い訳にして、行き過ぎた愛情で子どもに対して口うるさく過剰な干渉をしていたのではないか。そう自問し、行き過ぎた愛情や押しつけの愛情では、息子の自己肯定感は育まれないと気づきました。

それからの私は胸を張って「息子大好きー!」と言えるようになりました。
子育て中ですから心配や不安はつきものです。子どもを愛していればなおさらのことです。
愛情をストレートに表現すること。それが私にとって子どもに愛情を伝える一番の方法でした。だから朝の寝ぼけた顔を見て可愛い!と思ったらぎゅっと抱きしめる。背が伸びたな〜と嬉しくなったら、その感じたままの想いを伝えました。
勉強してないなと思えば、「勉強しなさい!」ではなく「試験前だから間に合うのかなととても不安になる。うるさく言いたくないのだけど、お母さんの方が不安が募ってきてるの」と気持ちを伝えるようにしてきました。
可愛いも心配もそのどちらも根っこにあるのは「愛情」です。そう考えると、いろいろな場面で子どもたちに愛情を感じられる私は、実はとても幸せな親なのではないかと密かに思っています。

5月は息子ふたりの誕生月。就活真っ只中の長男は22歳、次男は18歳の受験生です。家から出られない今は、彼らにとってなかなか厳しい状況です。私の中で心配や不安がふつふつと湧いてきますが、成長したふたりに寄せる今の私の愛情は「信頼」。余計なことは言わないように「信じて見守る!」と自分に言い聞かせています。
生まれた瞬間から言葉では言い尽くせないほどもらったたくさんの愛情を私は今も子どもたちに返している途中です。これまでもこれからも私の「息子大好きー!」の想いは止まりません。それは子どもたちが一番わかっていることでしょう(笑)。

埼玉県/上村明美 









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